ホテル関係の不動産鑑定評価を行った。
評価に必要であることから、東京の主要ホテルの客室稼働率を調べてみた。
日本経済新聞社が、日本経済新聞、日本経済産業新聞に調査発表している東
京の主要ホテルの客室稼働率である。
東日本大震災(2011年3月11日発生)が、東京のホテル業界にどれ程の大打撃
を与えたのか、客室稼働率で見てみる。
2011年3月の客室稼働率は、49.8%である。前年同月比△33.6ポイントであ
る。
2月の客室稼働率は82.6%であったから、前月比では△32.8ポイントの減少
である。
この様な急激な減少は通常の経済変動では生じ無い。
この異常な客室稼働率の下落の原因は東日本大震災である。
4月はなお悪く40.5%の稼働率である。前年同月比△40.9ポイントである。
著しい低水準の稼働率である。
これが東日本大震災が、東京のホテル業界に与えた現実の経済損失状況であ
る。
40.5%の稼働率は、東日本大震災クラスの大不況によるものとして、記録さ
れることであり、今後同じ大不況が来るかどうかは分からない。
もっともこの様な著しい低稼働率が何度もあっては、ホテル会社がバタバタ
倒産してしまう。
稼働率40.5%を底にしてホテル客室稼働率は上昇する。
しかし、対前年同月比にプラスになるには、去年の暮れの12月までかかる。
2011年(平成23年)12月の稼働率は79.1%で、前年同月比+0.4ポイントであ
る。
前年同月比で稼働率はプラスになったとはいえ、それは僅か0.4ポイントに
過ぎない。
この稼働率のプラスをもって、ホテル業界が東日本大震災の影響を乗り越え
たと言うには、まだ早いと思われる。
著しく空いた客室を埋めるために、即ち激しく落ち込んだ客室稼働率を高
めるために、客室料金の大幅な割引がなされて宿泊客の奪い合いが行われてい
るという要因を見落とす訳には行かない。
日本経済新聞社調べの去年2011年1月〜12月までの東京の主要ホテルの客室
稼働率は、下記の通りである。平均値及び標準偏差は私が計算したものである。
2011年01月 70.7% 2011年02月 82.6% 2011年03月 49.8% 2011年04月 40.5% 2011年05月 57.1% 2011年06月 67.6%
2011年07月 68.7% 2011年08月 71.9% 2011年09月 77.8% 2011年10月 83.9% 2011年11月 83.5% 2011年12月 79.1%
平均 69.4% 標準偏差 13.95