2009年は不動産会社の倒産が激増するであろうと、予測していた。
新春も未だ10日と経たないうちに、上場会社である不動産ファンドのクリードが経営に行き詰まった。
2009年1月9日株式会社クリードが、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
民事再生法の適用申請でなく、手続が複雑で適用が厳格な会社更生法の適用申請である。
何故、民事再生法の適用申請で無く、会社更生法なのだろう。
株式会社クリードのホームページに、会社更生法の適用申請の理由が載っている。
それによれば、
@ 一昨年後半に不動産市況が悪化した。
A 保有不動産の処分、人員削減を行ってきたが、不動産の不況の悪化は予想をはるかに超えて急激に進行した。
B 平成20年12月下旬以降の返済期限のくる金融債務に対処出来なくなった。
C 関係者への迷惑を最小限に食い止めるため、会社更生法の適用を申請することになった。
と述べる。
ここで「一昨年後半」に不動産市況が悪化したと述べる。
「一昨年後半」とは2007年7月以降ということである。
不動産ファンドの倒産当事者の企業が述べていることから、今回の不動産バブルは2007年7月にバブルがはじけ、その時から不動産価格の下落が始ったと言うことになる。
クリードの倒産が、それを裏付ける証明の事例の一つと言えよう。
その他クリードの倒産理由の一つとして、「不動産の市況の悪化は、予想をはるかに越えて急激に進行した」という。
しかし、不動産業を経営しているプロとして、この認識は甚だ甘い。
平成バブルは、不動産バブルが破裂した時は、その反動がゆっくりなど進まず、急激に来ることを教えてくれた。
不動産業を経営しているプロとしては、この事は当然知識として知っていなければならなく、その対処方法も経営上充分考えておかなければならないであろう。
今回の土地価格上昇は、バブルであり、それを警告する意見は多く出ていた。
当鑑定コラムでも、4年前くらいから地価上昇の異常を知らせ、「不動産ファンドという衣を被って、平成バブルの二の舞が演じられようとしている」と、早い時期に現在の状態を予測し、警告していた。
あぶくの利益に浮かれ、先が見えなくなってしまって企業が倒産というのでは、上場という資本市場から資金を集めて、投資家に利益を還元するという資本主義の制度を踏みにじることになる。
上場企業の経営者は、資本主義の制度を踏みにじる行為を行ってはならないであろう。
ファンドバブルの警告の鑑定コラムは、下記にあります。
鑑定コラム189)「東京の賃貸ビルのファンドバブル化」
鑑定コラム257)「危険ゾーンに入った都心一部の貸ビル利回り」
鑑定コラム264)「単身者用マンションの利回りも危険ゾーンに(その2)」
鑑定コラム291)「バブル時に迫る銀行の不動産業への新規貸出額」
鑑定コラム316)「不動産ファンドへの貸出規制」
鑑定コラム1172)「リートバブルに向かって 9.5兆円の貸出」
鑑定コラム1205)「 不動産業新規貸出9.7兆円(2014年4月直前1年間)」
鑑定コラム1235)「不動産新規融資10兆円を前に足踏み状態」