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三菱地所の社長(高木茂)が丸の内再開発10ケ年計画について、その内容を講演で明らかにした。(日刊不動産経済通信 2001年12月4日)
賃料坪当り4万円、空室率5%を前提にして、4つの計画ビルの内容を次のごとく発表した。
ビル名 売上高 キャッシュフロー 総事業費 投資利回り
1.丸の内ビル 109億円 71億円 650億円 10.9%
2.日本工業倶楽部・永楽ビル
80億円 60億円 400億円 15.0%
3.東京ビル 131億円 102億円 530億円 19.2%
4.日比谷パークビル 166億円 123億円 800億円 15.4%
丸の内地区の賃貸ビル事業の内容について具体的に数値が発表されることは殆どない。
計画とはいえ三菱地所の社長が賃料を坪当り4万円、空室率5%と発表した。
加えて丸の内の再開発の計画の内容を具体的に自ら発表したことは、大変なことである。
総事業費は土地価格を含めない建設工事費等と思われる。
発表数値は貴重なデータである。
今迄データが発表されないため、丸の内の土地の還元利回りはどの位かさっぱりわからなかった。
上記データに、4つの条件を付けて丸の内の土地の還元利回りを分析してみる。
条件はレンタブル比70%、土地価格は地価公示価格・丸の内2丁目の平方メートル当り1300万円、容積率はその公示地の容積率の1000%を採用するということ、そして建物の償却期間は45年という4つの条件である。
求める関係式は、
土地単価×土地面積×土地の利回り+総事業費×建物の利回り=キャツシュフロー
である。
土地建物一体とした複合不動産の総合還元利回りも、ついでに求めてみる。
求められた土地の還元利回り、総合還元利回りは次の通りである。
土地還元利回り 総合還元利回り
1.丸の内ビル 2.9% 3.4%
2.工業倶楽部・永楽ビル 3.7% 4.1%
3.東京ビル 4.1% 4.4%
4.日比谷パークビル 3.7% 4.1%
平均 3.6% 4.0%
日本のビジネス街の中心地である丸の内の土地の還元利回りは平均3.6%、総合還元利回りは4.0%とわかった。
発表の投資利回り(土地価格を考えていない)の平均15.1%とは大差な数値の差である。
不動産鑑定業を開業して30年になろうとしているが、三菱村と呼ばれる丸の内の鑑定評価は今迄で1件しかない。
上記分析の還元利回り(総合還元利回りを含む。以下同じ)を丸の内で使う機会は無いと思う。
しかし、丸の内の還元利回りを知ることによって、他の事務所街、高度商業地の還元利回りの把握には必ず役にたつものと思う。
そして意外に近くに有るのに一部の不動産鑑定士しか気づいていないのが、今後のリートの存在である。
垣根を超えた世界の投資マネーは、キャシュフローを前提にした利回りで投資判断してくる。
(財)日本不動産研究所が丸の内・大手町地域に所在するトップクラスのオフィスビルを想定して、投資家にアンケート調査している。
その『不動産投資家調査の結果概要』2001年11月によれば、丸の内・大手町の総合還元利回りは5.4%である。
上記で丸の内ビルの土地還元利回り2.9%と求めているが、その具体的な求め方については下記鑑定コラムの記事で説明してあります。
鑑定コラム111「丸ビルの土地利回り2.9%の求め方」
その他、貸ビル等利回り、還元利回りに関して、本『鑑定コラム』に次の記事があります。参考になると思います。
鑑定コラム19)「還元利回りの求め方」
鑑定コラム28)「日本プライムリアルティ投資法人のリート」
鑑定コラム41)「田の還元利回り4.2%」
鑑定コラム154)「不動産の利回り(割引率とターミナルレート」
鑑定コラム179)「ある投資法人の購入ビルの利回り」
鑑定コラム186)「沖縄の家賃と不動産利回り」
鑑定コラム189)「東京の賃貸ビルのフアンドバブル化」
鑑定コラム257)「危険ゾーンに入った都心一部の貸ビル利回り」
鑑定コラム964)「あべのハルカス工事費u61.3万円」
鑑定コラム1111)「丸の内にあるビルのキャシュフローの還元利回りは2.8%」
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