○鑑定コラム
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2011年(平成23年)産米が、スーパーマーケットの店頭に並ぶようになった。
平成22年産米の価格について記す。平成23年産米の価格ではない。
(株)KSP-SPの提供によるデータに基づいて、農林水産省が作成した2011年8月時点の、全国800のスーパー等の店頭に並んでいる米の小売価格(精米10kg)は、下記のごとくである。
新潟コシヒカリ一般 4,070円
富山コシヒカリ 3,487円
栃木コシヒカリ 3,487円
宮城ひとめぼれ 3,281円
秋田あきたこまち 3,242円
山形はえぬき 3,079円
青森つがるロマン 2,836円
北海道きらら397 2,666円
日本人一人の一年間に食べるお米の量は59.5kg、約60kgである。
銘柄によって違うが、上記金額を6倍すれば、自分の一年間のお米の消費額ということになる。
例えば、山形はえぬきならば、
3,079円×6=18,477円
である。
高いという人も中には居るかもしれないが、1.8万円が主食の金額である。
副食費を考えるべきという人はいようが、それは別においといて、少なくともこれだけの金額で、充分では無くとも、とにかく飢えることなく一年間生きて行けるのである。
高い金額ではないと私は思う。
小売価格で無く、卸価格はいくらしているのか。
卸価格の知識が何故必要かといえば、その価格が無ければ農地の収益価格が求められない。農地の収益価格を求める為に必要である。
農地の収益価格など自分には関係無いという不動産鑑定士が居たら、その様な人は不動産鑑定士の職を止められたい。
農耕社会がベースであった日本において、不動産の還元利回りは、田の価格と田の収益からの還元利回りが源であろうと私は思っている。
貸ビル、マンション、アパート、店舗の価格を求めるのに使用している還元利回りも、その源は田の利回りから発生しているものである。
その様に認識すれば、田から得られるお米の価格の知識が不動産鑑定に必要で無いという主張は出来ないであろう。
平成22年産米の卸業者の相対取引価格(出荷業者 玄米60kg)は、農林水産省の『米穀の取引に関する報告』によれば、下記のとおりである。平成23年8月時点である。
北海道 ななつぼし 11,707円(平成23年6月)
青森 まっしぐら 11,246円
岩手 ひとめぼれ 12,596円
宮城 ひとめぼれ 12,667円
秋田 あきたこまち 12,547円
山形 はえぬき 11,857円
福島 ひとめぼれ 13,187円
栃木 コシヒカリ 12,575円
富山 コシヒカリ 13,694円(平成23年6月)
広島 コシヒカリ 12,556円(平成23年6月)
香川 ヒノヒカリ 11,772円
福岡 ヒノヒカリ 12,857円(平成23年6月)
新潟産米は別格である。
下記の通りである。23年8月までの平均価格である。
コシヒカリ(一般) 15,762円
コシヒカリ(魚沼) 21,703円
コシヒカリ(岩船) 15,750円
コシヒカリ(佐渡) 15,961円
魚沼産コシヒカリは、同じ新潟県産コシヒカリよりも、
21,703円÷15,762円=1.376≒1.40
40%高い。
新潟魚沼産コシヒカリが、日本のお米の王様に君臨していることが、数字の上ではっきりと分かった。
小売のお米と卸価格の玄米との間には、どれ程の価格差があるのか。
小売価格と卸価格の各10kgの価格で比較してみる。
小売価格a 卸価格b 倍率a/b
宮城ひとめぼれ 3281円 2111円 1.55
秋田あきたこまち 3242 2091 1.55
山形はえぬき 3079 1976 1.56
栃木コシヒカリ 3383 2096 1.61
新潟コシヒカリ一般 4070 2628 1.55
富山コシヒカリ 3487 2082 1.67
お米の小売価格は、卸価格の1.55倍〜1.67倍である。
最頻値は1.55倍である。
卸価格の1.55倍が小売価格と判断して良いであろう。
これが市場が形成する経済経験則の倍率数値ということか。
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