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2587) 晴海選手村土地控訴審採用意見書の『中古マンション値づけ法』の駅距離修正率への激しい批判について

1.はじめに

 東京オリンピック晴海選手村土地廉売事件訴訟の第一審は、住民側敗訴となったが、住民側が控訴し、現在東京高等裁判所の控訴審で争われている。

 私は、一審判決の間違いと都側鑑定の土地価格及び求め方は間違っているという意見書を書きあげた。

 それは甲第180号証という証拠書類として控訴審に提出された。

 その意見書の中には、東京オリンピック晴海選手村の分譲マンションの価格は、甚だ安すぎると批判し、安いことを証明することが論述されている。

 控訴審において、私の証人喚問と甲180号証の証拠採用について公判が開かれ、私の控訴審での証人喚問申請は拒否されたが、甲180号証は、控訴審審議で唯一証拠として採用された。

 この甲180号証で述べられている選手村分譲マンション価格が安過ぎるという私の論述に対して、都側不動産鑑定会社が反論意見書(以下「都側鑑定意見」と呼ぶ)を提出して来た。

 その反論内容と、それに対する私の反論を記述する。

 私の反論には、多変量解析による重回帰分析による論述がなされていることから、重回帰分析とはどういうものかを具体的に知る機会になり、その様な土地等価格の分析手法もあるのかと云うことを知ることが出来、土地等価格の分析手法を勉強するつもりで本稿を読んで頂ければ幸いである。

2.都側鑑定意見の主張

 都側鑑定意見は、田原意見書が国土交通省の土地総合システムを利用して、地下鉄大江戸線勝どき駅勢圏の平成28年1月〜6月に販売された分譲マンション平均価格をu当り114.59万円(取引件数68件、駅徒歩分9.2分、平均専有面積68.29u)と求め、旧財団法人不動産近代化センター発行の『中古マンション値付け法』(平成5年)の駅接近価格差率、

        駅徒歩分    価格差率
                 〜3分            +5%
                 〜6分             0
                〜10分           -5%
                〜15分            -13%
より、徒歩18分の対象分譲マンション価格をu当り97.88万円と求め、都側鑑定の板状マンション価格77万円/uは安すぎると批判したことについて、次のごとく反論して来た。

 田原意見書は、下記のとおり不動産鑑定評価基準に対する理解不足、データの不適切な解釈等が認められ、意味のない誤った主張となっている。

 まず、不動産鑑定評価基準総論第3章では、不動産の価格形成要因として多数の地域要因・個別的要因を列挙し、「不動産の価格は、多数の要因の相互作用の結果として形成される」としているところ、田原意見書では取引事例と「都側鑑定」(鑑定会社名が記載されているが「都側鑑定」と記す。以下同じ。田原記入)における分譲単価を駅からの距離のみで比較検討しており、不動産鑑定評価基準の考え方を全く斟酌しない比較検討を行っている。

 次に、田原意見書では、国土交通省発表の「不動産取引価格情報検索 土地総合情報システム」における取引事例データ(平均販売単価:1u当り114.59万円、取引件数:68件、最寄り駅平均徒歩分:9.2分、平均専有面積:68.29u)をもとに、駅からの距離のみをもって、「都側鑑定」における板状棟の分譲単価を低額と指摘するが、当該指摘は上記取引事例データの不適切な収集・解釈による誤った指摘である。

まず、当該取引事例データを分析すると68事例(なお別紙1には70件の事例が記載されている)のうち、大部分(約90%)を占める63事例が「勝どき駅から徒歩9分・平成27年築・準工業地域」の事例であることが分かる。

 ここで、当該条件に合致する分譲マンションを抽出すると、対象はDマンション(マンション名の記載があるが「Dマンション」とする。田原記入)1件のみとなり、当該取引事例データが大きく偏った母集団から形成されるものであり、到底晴海地区全般の取引価格を示すものでないことが判明した。

 次に、該当物件は52階建の超高層タワー型マンションであり、田原意見書で主張の対象となった板状棟とは階層等の建物条件が全く異なるものであり、また、その所在する地域の住環境も全く同じで無いこと等から、駅距離のみの比較では到底適切な比較ができないものであり、当該取引データに基づく主張は全く意味をなさない。

 さらに、田原意見書では、財団法人不動産近代化センター(現公益財団法人不動産流通推進センター)発行の「中古マンション値づけ法(平成5年刊)」の駅接近性格差率をもって検証を試みているが、当該検証も専門職業家たる不動産鑑定士の検証とは到底言えない代物である。

 まず、当該書籍は「都側鑑定」における価格等調査の時点(平成28年4月1日)において既に発刊後20年以上経過した絶版の書籍(発行元では当該書籍とは異なる「既存住宅価格調査マニュアル」をweb上で有償提供している)である。

 不動産鑑定評価基準12頁において「不動産の価格も多数の価格形成要因の相互因果関係の組合せの流れである変動の過程において形成されるものである。したがって、不動産の鑑定評価にあたっては、価格形成要因が常に変動の過程にあることを認識して、各要因間の相互因果関係を動的に把握すべきである。」とあるように、不動産の価格形成要因は時代によって変動するところ、価格等調査の時点において相当程度古い絶版の書籍を参考とし、論拠とすることは、価格時点における専門家の分析として不十分で不親切である。

 また、仮に当該駅距離較差に一定の妥当性が認められるとしても、当該書籍は不動産仲介会社等の社員が簡易に不動産価格を求めるために使用するものであり、個別不動産の特性やその不動産が存する地域の特性、不動産市況の相違による格差率の変動率を十分に反映できるものではなく、個別具体性が一切欠如した説得力を有しない主張である。

 そして、上記の不動産鑑定評価基準における価格形成要因の考え方と同様に、当該書籍では駅からの距離のほかに多数の較差項目を設けているところ、駅距離のみをもって比較検討することは各要因間の相互因果関係の把握が不十分で恣意的であり客観性が担保できず、検証行為に値しない。

 以上のとおり、田原意見書の主張は、データの不適切な解釈等に基づく意味のない誤った主張であり、何ら妥当性を有するものではない。

と都側鑑定意見は反論して来た。

3.『中古マンション値付け法』(平成5年)の駅接近価格差率の論証

 都側鑑定意見は、相当程度古い絶版の書籍を参考とし、論拠とすることは、価格時点における専門家の分析として不十分で不親切であると批判し、駅距離のみで求められた97.88万円/uの価格を「検証行為に値しない」と切り捨てるが、果たしてそうであろうか。

 上記で示した駅距離による修正率が的はずれな数値であるか検証する。

   イ、 勝どき駅勢圏の中古マンション取引価格

 勝どき駅勢圏のRC造、築15年以内、面積40u〜100uの中古マンションの取引事例(成約年月2021年2月〜2023年3月)を、不動産情報会社であるアットホームより入手して分析する。

   データは31件あった。下記である。31件の取引事例データ一覧は下記である。


番号 所在 価格万円 面積u 勝どき駅徒歩分 築年 西暦
             
1 中央区晴海2丁目 5380 43.92 15 2019 14
2 中央区晴海2丁目 5550 43.33 13 2016 43
3 中央区晴海2丁目 5780 45.65 11 2013 22
4 中央区月島1丁目 5980 41.17 11 2020 7
5 中央区晴海2丁目 6100 43.33 15 2019 23
6 中央区勝どき3丁目 6300 59.27 3 2012 14
7 中央区晴海3丁目 6930 55.77 9 2015 6
8 中央区晴海2丁目 6950 65.54 13 2016 23
9 中央区晴海2丁目 6980 57.65 13 2016 24
10 中央区晴海2丁目 7100 66.14 11 2014 46
11 中央区晴海2丁目 7180 57.38 15 2019 29
12 中央区晴海2丁目 7180 62.26 13 2016 17
13 中央区晴海2丁目 7200 65.51 11 2013 13
14 中央区晴海3丁目 7300 58.06 9 2015 21
15 中央区勝どき5丁目 7580 58.28 6 2016 28
16 中央区晴海2丁目 7580 68.73 11 2013 12
17 中央区晴海2丁目 7600 62.23 15 2019 44
18 中央区晴海2丁目 7600 73.66 13 2016 22
19 中央区勝どき5丁目 8120 56.87 6 2016 44
20 中央区晴海2丁目 8200 60.67 13 2016 36
21 中央区晴海3丁目 8900 70.98 9 2015 5
22 中央区晴海3丁目 9000 64.59 9 2015 43
23 中央区晴海2丁目 9100 73.48 13 2016 26
24 中央区晴海3丁目 9100 70.70 9 2015 14
25 中央区勝どき5丁目 9200 76.86 6 2016 23
26 中央区晴海2丁目 9250 78.59 15 2019 5
27 中央区晴海2丁目 9300 79.61 11 2013 39
28 中央区勝どき5丁目 9600 72.09 6 2016 48
29 中央区晴海2丁目 9980 78.75 11 2013 32
30 中央区晴海3丁目 10300 70.98 9 2015 42
31 中央区晴海3丁目 11490 70.70 9 2015 36
平均   7864.84 63.00 10.7 2015.7 25.8


 ロ、分析データ化

 事例の内訳を説明すると、下記である。

 上記事例番号1は、中央区晴海2丁目に所在するRC造の中古マンションで、取引価格は5380万円である。専有面積は43.92uである。

 u当り金額は、
       5380万円÷43.92u=122.495万円≒122.50万円
である。

 勝どき駅からの距離は徒歩15分である。

 建築時期は2019年である。2023年の時点で計算すると
              2023年−2019年=4年
築4年である。

 階層は14階にあるマンションである。

上記と同じ求め方で取引事例31件の事例を分析化する。
     Y : u当りマンション価格 万円
          X1:  勝どき駅からの距離 徒歩分
          X2:  面積区分
                 専有面積 40u〜49u  1
                 専有面積 50u〜59u  2
                 専有面積 60u〜69u  3
                 専有面積 70u〜79u  4
                 専有面積 80u〜       5
          X3:  経年 年
          X4:  階数 階
として、データ分析化する。

 データ分析化は、下記一覧である。


番号 u単価 万円 勝どき駅徒歩分 面積 経年
  X1 X2 X3 X4
1 122.50 15 1 4 14
2 128.09 13 1 7 43
3 126.62 11 1 10 22
4 145.25 11 1 3 7
5 140.78 15 1 4 23
6 106.29 3 2 11 14
7 124.26 9 2 8 6
8 106.04 13 3 7 23
9 121.08 13 2 7 24
10 107.35 11 3 9 46
11 125.13 15 2 4 29
12 115.32 13 3 7 17
13 109.91 11 3 10 13
14 125.73 9 2 8 21
15 130.06 6 2 7 28
16 110.29 11 3 10 12
17 122.13 15 3 4 44
18 103.18 13 4 7 22
19 142.78 6 2 7 44
20 135.16 13 3 7 36
21 125.39 9 4 8 5
22 139.34 9 3 8 43
23 123.84 13 4 7 26
24 128.71 9 4 8 14
25 119.70 6 4 7 23
26 117.70 15 4 4 5
27 116.82 11 4 10 39
28 133.17 6 4 7 48
29 126.73 11 4 10 32
30 145.11 9 4 8 42
31 162.52 9 4 8 36
平均 125.39 10.7 2.8 7.3 25.8


 ハ、重回帰分析

 上記データを多変量解析の重回帰分析で方程式を求めると、下記である。

      Y=160.47−1.68X1−0.84X2−3.15X3+0.325X4
               重相関係数 R=0.55

 上記方程式を説明すると、勝どき駅徒歩1分毎に中古マンション価格は1.68万円/u減額する。面積区分1(約10u)上がる毎に中古マンションは0.84万円/u下がる。経年1年毎に中古マンションは3.15万円/u安くなる。階数は1階上がる毎に0.325万円/u高くなる。

 ニ、標準要因条件マンションの駅徒歩分毎の価格

 徒歩分を除いて、要因の標準を下記とする。
     X2 面積     区分3  60〜69u
          X3 経年   7年
          X4 階    10階
 
 勝どき駅徒歩5分、面積65u 築後経年7年 階数10階の中古マンションの価格を求める。下記である。

       Y=160.47−1.68×5−0.84×3−3.15×7+0.325×10
         =130.75

 勝どき駅より徒歩5分の標準要因条件の中古マンション価格は、130.75万円/uである。

 同様にして、徒歩0分から徒歩20分までの、勝どき駅の中古マンション価格は下記である。


徒歩分 マンション価格 万円
0 139.15
1 137.47
2 135.79
3 134.11
4 132.43
5 130.75
6 129.07
7 127.39
8 125.71
9 124.03
10 122.35
11 120.67
12 118.99
13 117.31
14 115.63
15 113.95
16 112.27
17 110.59
18 108.91
19 107.23
20 105.55


 上記求められた勝どき駅勢圏の中古マンション価格の徒歩6分の価格を100として評点化する。

 例えば徒歩3分の評点は、
          134.11
                 ─────×100 = 103.9                         
                    129.07
103.9である。

 同様にして勝どき駅0分〜20分の標準要因条件の中古マンション価格評点は、下記である。


徒歩分 マンション価格 万円 評点
0 139.15 107.8
1 137.47 106.5
2 135.79 105.2
3 134.11 103.9
4 132.43 102.6
5 130.75 101.3
6 129.07 100
7 127.39 98.7
8 125.71 97.4
9 124.03 96.1
10 122.35 94.8
11 120.67 93.5
12 118.99 92.2
13 117.31 90.9
14 115.63 89.6
15 113.95 88.3
16 112.27 87
17 110.59 85.7
18 108.91 84.4
19 107.23 83.1
20 105.55 81.8


 徒歩6分の評点を0%として、%による修正率を求める。

 例えば徒歩1分は、評点106.5であるから、
           106.5
                ─────  −1 = 0.065≒0.07                    
                   100
+7.0%である。

 同様にして勝どき駅0分〜20分の標準要因条件の中古マンション徒歩6分を0%とした上下徒歩分の価格修正%は、下記である。


徒歩分 マンション価格 万円 評点 修正%
0 139.15 107.8 +8
1 137.47 106.5 +7
2 135.79 105.2 +5
3 134.11 103.9 +4
4 132.43 102.6 +3
5 130.75 101.3 +1
6 129.07 100 0
7 127.39 98.7 -1
8 125.71 97.4 -3
9 124.03 96.1 -4
10 122.35 94.8 -5
11 120.67 93.5 -6
12 118.99 92.2 -8
13 117.31 90.9 -9
14 115.63 89.6 -10
15 113.95 88.3 -12
16 112.27 87 -13
17 110.59 85.7 -14
18 108.91 84.4 -16
19 107.23 83.1 -17
20 105.55 81.8 -18


 ホ、まとめ

 上記より勝どき駅徒歩分距離による価格修正は、徒歩分6分を0%とすると、
                徒歩3分           +4%
                徒歩6分             0%
                徒歩10分          −5%
                徒歩15分          -12%
と求められる。

 旧財団法人不動産近代化センター発行の『中古マンション値付け法』(平成5年)の駅接近価格差率と比較すると、下記である。
 
              『中古マンション値付け法』     勝どき駅中古マンション
   徒歩3分           +5%              +4%
   徒歩6分           0%                 0%
   徒歩10分         -5%                −5%
   徒歩15分         -13%              -12%

 上記論証より、駅接近価格差率は、充分論理性がある数値と思われる。

 『中古マンション値付け法』の割合等は、「不動産仲介会社等の社員が簡易に不動産価格を求めるために使用するものであり、個別不動産の特性やその不動産が存する地域の特性、不動産市況の相違による格差率の変動率を十分に反映できるものではなく」と都側鑑定意見は批判するが、仲介に利用されて中古マンション売買契約が成立していると云うことは、その有用性が認められていることである。

 また、求められた97.88万円は個別的要因を反映したものでないと批判するが、平均より求めたものであり、平均の中に個別的要因が全て含まれている。

 都側鑑定の77万円/uも個別的要因を含めた平均の価格では無かろうか。

 1階〜17階等最上階迄全て同じ77万円/uなのか。北向きも南向きも77万円/uなのか。南東角部屋も北西角部屋も77万円/uなのか。

 そうでは無かろう。

 1階〜17階等最上階の各階単価は異なり、北向きも南向きも単価が異なり、南東角部屋と北西角部屋も単価が異なるであろう。

 都側鑑定の77万円/uも、それ等個別的要因を全て考えた上での単価が77万円/uということであろう。

 個別的要因を考えていないという批判は当たらない。

 また、都側鑑定意見は、田原意見書の68件のデータの9割は、52階建Dマンションのデータによるものであり、晴海地区全体の取引事例では無く偏った母集団のデータによるものであるから、分析結果の主張は全く意味をなさないと批判する。

 68件のデータの9割が52階建てのデータであるからデータの偏りがあると批判するが、52階建のマンションとはいえ、全てのデータが52階の部分にあるわけで無く、低層階、中層階の取引事例もある。そのDマンションの平均取引価格を反映している事になる。

 そして勝どき駅徒歩9分のマンション価格の取引価格をDマンションが実質的につくりあげ、勝どき駅勢圏のマンション価格形成の指標価格となっていることになる。

 そういう価格影響を与えていることが充分予測されることから、1棟のマンションのデータが9割を占めるから分析結果は意味をなさないという都側鑑定意見の主張は失当となる。

 都側鑑定意見の上記の田原意見書への批判の主張は、上記%の論証によってもなお通るものであろうか。

 都側鑑定意見の田原意見書への批判が間違っている重要な点は、土地価格・マンション価格は、駅若しくは商業中核施設・地域を中心にして形成され、駅等より遠くなるにつれ価格は逓減するという価格形成の大原則を無視していることである。そしてもう一つ、平均は嘘をつかないということが全く分かっていないことである。

 それ故、都側鑑定意見の田原意見書批判は、多変量解析の統計数学による論証によって論破されてしまった。

 控訴審裁判官がこの論証を読んで、都側鑑定意見及び都側鑑定書が適正であると判断するのであろうか。

 判断するのであれば、最高裁に上告し、裁判官の中から選抜された優秀な調査官の調査を経て、最高裁の裁判官の判断を仰ごう。

 なお付言すれば、上記不動産流通近代化センターの『中古マンション値付け法』の徒歩分修正率は、私が近代化センターの依頼を受け、日本を代表する不動産会社より膨大な中古マンションの取引事例を提出してもらい、各要因に区分して多変量解析の重回帰分析によって分析し、評点化したものである。  紙ペーパーの中古マンション評価方法が、コンピュータ化されて使用されているのである。

 このことについては、著書『賃料<家賃>評価の実際』P306(清文社 2001年)に記してある。

 上記都側鑑定意見の横柄と思われる私への暴言、非礼は、不動産鑑定会社、その審査部そして社会人としての不動産鑑定士は少し考えるべきであろう。

 果たして、都側の不動産鑑定会社、その審査部そして不動産鑑定士が、私への暴言等に対して、どの様な対応をするか見ていよう。

 田原鑑定意見書の勝どき駅勢圏の平成28年1月〜6月に販売された分譲マンション平均価格をu当り114.59万円(取引件数68件、駅徒歩分9.2分、平均専有面積68.29u)については、鑑定コラム2155)に分析記述されている。

 勝どき駅徒歩18分のオリンピック選手村板状マンション(17階程度)の価格は、勝どき駅勢圏の分譲マンションの取引価格の分析から、97.88万円/uと推測される。

 原告側の不動産鑑定士桝本行男氏の鑑定価格は、95万円/uである。

 都側鑑定の77万円/uは安すぎる分譲価格である。不適正な価格である。

 分譲価格を安くし、建築費を高くすれば、開発法の価格は安く求められる。加えて工事期間を長くすれば、割引率が高くなることから、開発法で求められる土地価格は甚だ安く求められることになる。

 本来都有地の売却は、都議会の承認を得なければならない。本件晴海選手村土地価格は、都議会の承認を得ずに売却されている。

 都議会の承認を得ずに甚だ安い価格で土地売却することは違法の行為(地方自治法237条2項違反)である。

 その土地価格が適正価格である主張は通らない主張である。

 東京都及び都側鑑定は、オリンピック選手村要因を考えょと強く主張するが、オリンピック大会が終了してから、50階建の分譲マンション2棟(1453戸)が着工されて作られる分譲マンションが、オリンピック大会出場の選手の宿舎としてどの様にして利用されるのか。

 50階建2棟の分譲マンションの建築確認申請が許可された年月は、2021年12月27日である。

 東京オリンピック2020は、2021年7月23日〜9月5日開かれた。

 2021年9月初旬にパラリンピックも含めて終わっている。

 オリンピク終了後に着工される選手村要因の建物と称する50階建2棟の分譲マンション(1453戸)が、オリンピック選手村要因であるという論理は成り立たない。

 東京都及び都側鑑定の主張するオリンピック選手村要因は、論理の正当性が無く、土地価格を安くせんが為の胡散くさい内容のものである。



  鑑定コラム2611
「(開発法価格+家賃=鑑定評価額)という不動産鑑定評価額は無い」

  鑑定コラム2613)「「家賃が土地価格だとした誤りになぜ気づかなかったのか」西田紘一氏寄稿」

  鑑定コラム2614)「土地公租公課より見た晴海選手村土地価格の異常安」

  鑑定コラム2616)「晴海選手村の市街地再開発事業には都市再開発法108条2項は適用出来ない」

  鑑定コラム2618)「鵜野和夫先生の訃報、お別れ会への記事アクセスが上位に 令和5年7月1日アクセス統計」

  鑑定コラム2621)「資産評価政策学会 2023年度シンポジュウムの論者の一人として参加して」

  鑑定コラム2645)「「逆も真なり」 晴海フラッグの実際の分譲価格より逆算すると、晴海選手村街区5-4の土地価格は189.5億円 都側鑑定は11.7億円」

  鑑定コラム2647)「「逆も真なり」 晴海フラッグの実際の分譲価格より逆算すると、晴海選手村街区5-5の土地価格は355.4億円 都側鑑定は40.6億円」

  鑑定コラム2649)「「逆も真なり」 晴海フラッグの実際の分譲価格より逆算すると、晴海選手村街区5-6の土地価格は379.5億円 都側鑑定は27.2億円」

  鑑定コラム2651)「「逆も真なり」 晴海フラッグの実際の分譲価格より逆算すると、晴海選手村の土地価格は1280億円 都側鑑定は129.6億円 」



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