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2630) 不動産業年間貸出額過去最高13.6兆円 国内銀行2023年6月末 もう止めよ

 2023年8月10日、日本銀行は、2023年第2四半期(2023年4月〜6月)の銀行の貸出先別貸出額を発表した。

 それによると2023年4月〜6月の国内銀行の不動産業への新規貸出額は、3兆0272億円である。

 前年同期は、2兆3907億円(発表時の金額、以下同じ。発表後に金額が変更されている場合が多々あるため)であったから、前年同期比では

                     3兆0272億円
                  ────────  = 1.266                        
                     2兆3907億円
26.6%アップである。

 四半期の対前年同期比の増加率は、下記である。
        2021年7月〜9月   前年同期比  + 4.3%
    2021年10月〜12月  前年同期比  +26.3%
    2022年1月〜3月   前年同期比  + 9.6%
    2022年4月〜6月   前年同期比  +10.4%
    2022年7月〜9月   前年同期比  +17.7%
        2022年10月〜12月  前年同期比  + 2.2%
        2023年1月〜3月      前年同期比    +23.1%
    2023年4月〜6月   前年同期比  +26.6%
である。

 貸出額の大巾増加である。

 2023年第2四半期末直前1年間の貸出額を記すと、下記である。金額は発表時の金額である。

            2022年第3四半期   3兆0553億円
            2022年第4四半期      3兆1430億円
            2023年第1四半期      4兆4440億円
            2023年第2四半期   3兆0272億円

                計              13兆6695億円

 各四半期末直前1年間不動産業貸出額は、下記である。
            2016年12月           12兆3388億円
            2017年3月            12兆3580億円
            2017年6月            12兆1569億円
            2017年9月            11兆7927億円
            2017年12月           11兆7070億円
            2018年3月            11兆3894億円
            2018年6月            11兆3064億円
            2018年9月            11兆2219億円
            2018年12月           11兆0434億円
            2019年3月            10兆9189億円
            2019年6月            10兆7439億円
            2018年9月            10兆8577億円
            2019年12月           11兆0715億円
            2020年3月            11兆2599億円
            2020年6月            11兆3390億円
            2020年9月            10兆8391億円
            2020年12月           10兆6697億円
            2021年3月            10兆4344億円
            2021年6月            10兆3828億円
            2021年9月            10兆4889億円
            2021年12月           11兆1311億円
            2022年3月            11兆4459億円
            2022年6月            11兆6710億円
            2022年9月            12兆1305億円
      2022年12月      12兆1979億円
      2023年3月       13兆0330億円
      2023年6月       13兆6695億円

 2023年6月末は13兆6695億円である。 2023年3月末13兆円を突破して過去最高年間貸出額となった。日銀総裁もやっと変わり、金融政策が変わるのかと思ったら、不動産業貸出額は、なお増額となっている。

 もう、不動産業への過去最高額の貸付は止めょ。

 何を考えて、不動産業への貸付を過去最高の金額の貸付をしなければならないのか。

 2023年3月の貸出額を除けば、それまでの過去最高は、2017年3月の12兆3580億円である。6年前である。

 それを越え、13.6兆円という過去最高の金額を不動産業に貸し出している。この行為は、少しを超えて、甚だおかしくはないか。これが黒田東彦日銀総裁が残した仕事である。

 国内総生産はさっぱり伸びない。国内総生産の約60%は賃金が占める。

 国内総生産が伸びなければ賃金の増加は無い。

 賃金は、国税庁の『民間給与実態統計調査』によれば、民間給与者の年間平均給与額は、
      平成10年(1998年)   4,646千円
      令和3年(2021年)     4,433千円
である。

 現在(2021年)の給与は、平成10年の給与よりも下がっているのである。

 黒田日銀総裁一人の責任では無いことから、今年4月に辞めた黒田総裁を責めることは酷かも知れないが、金融超緩和政策が良政策であったかは、私には甚だ疑問に思われる。

 日銀は金融超緩和政策を行うことによって、産業の活性化を計り、国内総生産を高めようとしたのであろうが、結果、金融超緩和の金は、株式と不動産に回り、株価高騰、地価高騰現象を引きおこしてしまった。

 不動産業に対する国内銀行新規総貸出額に占める割合は、2023年第1四半期の割合は26.0%である。

        国内銀行総貸出額    50兆1339億円
        不動産業貸出額       13兆0330億円

    13兆0330億円÷50兆1339億円=0.2599≒0.26

 2023年第2四半期の同割合は26.9%である。

        国内銀行総貸出額    50兆81678億円
        不動産業貸出額       13兆6995億円

    13兆6995億円÷50兆8167億円=0.2689≒0.269

 不動産業の国内総生産に占める割合は、私の計算によれば、4.2%(鑑定コラム1556)である。

 国内総生産に占める割合4.2%の不動産業に対して、国内銀行が全貸出額の26.9%を不動産業に貸し出す現象は、いささか異常な銀行貸出状況では無かろうか。

 その様な政策をしていては、国内総生産が伸びる筈が無かろう。民間給与が増加することは無かろう。

 金の使い道を大間違いしている。

 不動産業国内銀行年間新規貸出額13.6兆円という貸出額過去最高額という歴史的数字を残して、黒田東彦総裁は日銀を去った。後は野となれ、山となれ、わしゃ知らぬと云うことか。


 上記四半期末直前1年間の貸出額をグラフにしたのが、下図である。




国内銀行不動産業貸出額2023年6月




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