鑑定コラム945)「土地総研と岐阜県不動産鑑定士協会のDI値の関係」で、岐阜県不動産鑑定士協会のDI値を紹介した。
不動産価格DI値分析は、不動産価格動向、不動産業の業況を知るためには重要な分析手法であると私は思う。
私がDI値を利用するようになったのは、昭和の50年代の後半頃では無かったかと思う。平成バブルの少し前であったと思う。
日本銀行が景気動向を調べる為に、各産業の会社に対して、売上高等景気の良し悪しについてアンケート調査を、四半期毎に行っている。
この日銀の四半期毎のDI値調査は、「日銀短観」として発表され、日本の経済、景気の判断に大きな影響を与えている。
その日銀短観のDI値調査の中に、大手不動産業、中小不動産業のDI値が入っている。
その中小不動産業のDI値が、割と実態に近い数値であると当時実感した。
それ以後、この数値を把握して不動産の景気動向を判断し、不動産鑑定にも利用していた。
その後、国交省の外郭研究団体である土地総合研究所が、DI値を発表するようになった。
その調査結果が、不動産業の景気予測、景気実態をかなり精度高く反映していることを知る。
現在は、日銀短観の不動産業DI値よりも、土地総研のDI値に注目をシフトしている。
日本全国の都道府県ごとに各不動産鑑定士協会がある。
しかし、全ての不動産鑑定士協会が、不動産価格動向のDI値を調査発表している訳では無い。
はっきりと私は分からないが、不動産鑑定士協会として、最初にDI値分析に取り組んで、その結果を発表し、現在も精力的に取り組んでいるのは、滋賀県不動産鑑定士協会ではなかろうか。
それとても平成20年からの調査である。
不動産ファンドバブル崩壊後である。
僅か4年前にしかならないが、取り組んだ姿勢には敬意を表したい。
何だかんだと云ったとしても、私はそうしたことをやっていないのだから。
東日本大震災を契機にして、東北の太平洋側の福島、宮城、岩手県の各不動産鑑定士協会が、震災後の不動産の価格状況がどうなっているのか、不動産業の先行き景気はどうなのか等が分からないことから、DI値調査で実態と予測を分析し始めた。
この東北東日本の不動産鑑定士のDI値調査は、世間の注目するものとなった。
東北東日本の不動産価格の把握あるいは鑑定評価する際には、このDI値調査を無視することは出来ない状況にある。
裁判での有力な証拠としても、その重要性が出て来る。
私も昨年(平成23年)の後半、仙台の裁判中の土地について鑑定した。
その裁判は、東日本大震災の土地価格への影響が争点の1つになっていた。
仙台の土地価格鑑定において、東日本大震災の土地価格への影響を無視することは出来ず、判断の1つの証拠として、裁判所に不動産鑑定評価書と共に宮城県不動産鑑定士協会によるDI値調査の報告書を提出した。
不動産価格のDI値調査を行っている11の各県不動産鑑定士協会は、下記の団体である。
一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会 社団法人宮城県不動産鑑定士協会 社団法人福島県不動産鑑定士協会 社団法人千葉県不動産鑑定士協会 公益社団法人岐阜県不動産鑑定士協会
社団法人静岡県不動産鑑定士協会 公益社団法人滋賀県不動産鑑定士協会 社団法人広島県不動産鑑定士協会 公益社団法人岡山県不動産鑑定士協会 公益社団法人香川県不動産鑑定士協会
公益社団法人愛媛県不動産鑑定士協会