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507)不動産業の業況の分水嶺は2007年7月だった

 財団法人土地総合研究所が、国土交通省の委託を受けて、不動産業業況調査を四半期ごとに行っている。

 不動産業業況DI値である。

 不動産業業況DI値は、不動産業の経営状況の良いという回答から、悪いと言う回答を差し引いた値である。

 良いという回答と悪いという回答が同数ならば、DI値は0ということである。

 但し、土地総合研究所の場合「良い」・「悪い」の他に「やや良い」・「やや悪い」という回答項目があるため、DI値は下記のごとくの式で求められている。


 {(良いとする回答数×2+やや良いとする回答数)−(やや悪いとする回答数+悪いとする回答数×2)}÷2÷全回答数×100


 このDI値調査は当初は住宅地だけであったが、平成13年7月より商業地(1月、7月のみ)も調査されるようになった。
 その調査の最近のDI値は、下記のごとくである。

                                    住宅地       商業地
   平成18年(2006年) 1月      8.8     65.0
   平成18年(2006年) 4月      15.6       -
   平成18年(2006年) 7月      10.4     37.5
   平成18年(2006年)10月      9.5       -

   平成19年(2007年) 1月      10.8     50.0    平成19年(2007年) 4月      3.3      -    平成19年(2007年) 7月      -4.1     13.6    平成19年(2007年)10月      -4.1      -
   平成20年(2008年) 1月     -27.5     -40.0    平成20年(2008年) 4月      -33.6      -    平成20年(2008年) 7月     -51.4     -72.2    平成20年(2008年)10月     -59.2      -
 DI値が右下がりで0をきる個所が、不動産業の経営状況が悪化に突入した時である。

 不動産業の経営が悪化したということは、土地が売れなくなって収益が悪化し始めたと言うことである。

 土地が売れなくなるということは、土地を売主側の値段で買う人が居ないことを示す。

 そしてそれは地価が下落する兆候を意味する。

 上記のDI値を見ると、住宅地のDI値が右下がりで0に突入するのは平成19年4月〜7月の間である。
 商業地は平成19年7月〜平成20年1月の間である。

 DI値が0を切る直前が、不動産業の経営の絶頂期と考えられる。
 それは、
          住宅地   平成19年4月
          商業地   平成19年7月
である。

 平成19年7月には遅くとも絶頂期にあり、それ以降不動産業経営は坂を転げ落ちるごとく急激に悪化する。
 それは、平成20年7月の住宅地のDI値-51.4、商業地のDI値-72.2を見れば、経営の悪さの凄まじさが分かろう。

 リーマン・ブラザーズの経営破綻は平成20年9月15日であるから、それ以前に日本の不動産業は、凄まじい経営悪化に突入していたのである。

 人は、リーマン・ブラザーズの経営破綻から不動産業がおかしくなり、土地価格の暴落が始まったと言うが、そうでは無い。それ以前に既に不動産ファンドバブルははじけ、土地価格は暴落過程に入っていたのである。

 平成20年9月15日以降、リーマン・ブラザーズの経営破綻が土地価格の暴落により拍車をかけることになるのである。

 東京の土地価格は、2002年(平成14年)頃より少し上昇を始め、2007年(平成19年)7月に不動産ファンドバブルによる地価のバカ高値をつけると、そのあと急激に下落した。

 この地価の動向と不動産業業況DI値とは無関係ではない。

 不動産業の経営状況の分水嶺は、平成19年7月であり、また土地価格の不動産ファンドバブルの破裂も、その時期である。
 不動産業業況DI値が0を切る時と、不動産ファンドバブルによる地価のバカ高値の時期とが、ぴたりと一致する。

 不動産業業況DI値は、資本主義が牙をむいて襲いかかる近い将来の不動産業の不況をちゃんと事前に教えてくれていた。
 DI値は3ヶ月後の先の予測指数も同時に発表されていることから、現在倒産して民事再生法の適用を申請している不動産会社の経営者達が、不動産業業況DI値をその時々に見て対応しておれば、会社の倒産はほぼ避けられたのでは無かろうかと私は思う。

 では今後を予想するのにDI値の動きをどう見ておれば良いのか。

 DI値が右上がりで0になった時が、不動産価格の下落の底と推定される。その時土地価格は下落から反転して上昇に転じる。

 住宅地のDI値-51.4、商業地のDI値-72.2が、V字型カーブでそれぞれ右上がりで0に急回復する事は考え難いことから、不動産の価格の下落は当分続くものと思われる。

 DI値がマイナスの数値が少なくなって上向き、右上がりで0を切るのを注視している事だ。

 下記に1998年(平成10年)からの住宅地のDI値、2001年(平成13年)からの商業地のDI値のグラフを記す。

 グラフで見ると、不動産業の業況状況がはっきりと分かるであろう。


不動産業業況DI値


 追記 平成24年9月11日

 上記DI値の推移による土地価格の暴落について、私は論文を書いた。
 その論文が土地総合研究所の研究雑誌に掲載された。
 土地総合研究所のホームページにその論文がPDFで公開されていることを、最近知った。
 下記アドレスをクリックすれば、私の本件論文を読むことが出来る。


      http://www.lij.jp/html/jli/jli_2009/2009spring_p046.pdf






  鑑定コラム615)「『土地総合研究』掲載の「的中した土地総研のDI値」という論文」

  鑑定コラム620)「地価17年周期説」

  鑑定コラム682)「 岐阜県の土地価格・不動産市況のDI値」

  鑑定コラム701)「 都心商業地の地価は底を打ったか?」

  鑑定コラム922)「 都心5区空室率9.4%と過去10年で最高」

  鑑定コラム944)「 商業地価は底(2012年7月)」

  鑑定コラム945)「土地総研と岐阜県不動産鑑定士協会のDI値の関係」

  鑑定コラム949)「不動産価格DI値は11不動産鑑定士会で発表している」

  鑑定コラム950)「論文『的中した土地総研DI値』のPDF」

  鑑定コラム972)「不動産ファンドバブルのビル賃料の遅行性は12ヶ月」

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