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938)ゴルフ場月別売上高の比率

 ゴルフ場の売上高は、季節によって大きく異なる。

 売上高の少ない月、多い月はいつなのか。
 そして平均月額売上高に対して、それぞれの月の売上高比率はどれ程なのか。

 それぞれのゴルフ場は、自らのデータを持っており、それらのことは分かっているであろう。

 各ゴルフ場の個別事情による形成数値は別として、データをマクロに見てそれらを分析してみる。

 経済産業省がゴルフ場の売上高等について、サンプル調査をしている。
 ゴルフ場動態統計調査である。
 この調査データを使用する。

 平成20年から23年までの各月売上高(百万円)のデータは、下記である。
 平均、割合の計算は田原による。


売上高                  
  平成20年 割合 平成21年 割合 平成22年 割合 平成23年 割合 平均割合
1月 5088 0.597 4546 0.562 4807 0.616 4404 0.593 0.590
2月 3651 0.428 4097 0.507 3813 0.489 3657 0.492 0.480
3月 6893 0.808 6228 0.771 5706 0.731 4841 0.652 0.740
4月 8891 1.043 8303 1.027 7897 1.012 6808 0.917 1.000
5月 10975 1.287 10637 1.316 10437 1.338 8944 1.204 1.290
6月 10499 1.231 9678 1.197 9381 1.202 8715 1.174 1.200
7月 10224 1.199 9090 1.125 9181 1.177 9376 1.263 1.190
8月 8904 1.044 8786 1.087 8026 1.029 8043 1.083 1.060
9月 9970 1.169 10006 1.238 9051 1.16 8743 1.177 1.190
10月 10500 1.232 10032 1.241 9800 1.256 10196 1.373 1.280
11月 9568 1.122 8813 1.09 8831 1.132 8699 1.171 1.130
12月 7154 0.839 6777 0.838 6698 0.858 6686 0.9 0.860
平均 8526 1.000 8083 1.000 7802 1.000 7426 1.000 1.000


 各年の平均月額売上高は、

     平成20年   8,526百万円
     平成21年   8,083百万円
     平成22年   7,802百万円
     平成23年   7,426百万円

である。

 ゴルフ場の売上高は大きく減少している。

 各年の平均月額売上高に対する各月の売上高割合を求める。
 次いで、求められた平成20年〜23年の4年の各月割合の平均割合を求める。

 その割合は、上記一覧表に計算されているが、下記に再記する。

 雪のため11月〜翌年3月までゴルフ場閉鎖の地域もあろうが、そうした地域のゴルフ場は、また別の割合となることから、ここでは論じない。

     1月    0.59
     2月    0.48
     3月    0.74
     4月    1.00
     5月    1.29

     6月    1.29      7月    1.19      8月    1.06      9月    1.19      10月    1.28      11月    1.13      12月    0.86

 年間で最も売上高の少ない月は2月で0.48である。
 ほぼ年間平均売上高の半値である。

 最も売上高の多い月は5月で1.29である。
 ほぼ年間平均売上高の+30%アップである。

 10月も1.28であり、5月と10月がほぼ同じ売上高の月と言える。

 8月は暑くてゴルフは避けるが、8月を挟んだ6月、7月、9月は1.19〜1.20で、年間+20%アップである。

 4月は年間平均月額売上高と同じである。

 このことは、4月の売上高を12倍すれば、その年の年間売上高が推測されると云うことになる。

 上記月別売上高比率でもう一つ分かることは、売上高減は半値になる月はあるが、売上高増は30%増までということである。(平成20年〜23年までの各月で増加の割合で1.30を越えるのが3つあるが、4ヶ年の平均は1.30以下であることから、1.30を越えるものは特別と考えてよいであろう。)

 50%増とか100%増の月は無いと云うことである。

 この売上高増+30%までというのは1つの経済経験則であろう。

 この経済経験則は、月別の売上高にのみ云えることでは無く、年間売上高に対しても同じ様に云えることと思われる。

 こうして考えると、「売上高増+30%まで」ということは大変重要である。

 どうしてかと云えば、ゴルフ場の不動産鑑定で収益還元法のDCF法で将来の売上高を予測する時、この経済経験則が引っかかってくる。

 10年後の当該ゴルフ場の売上高50%アップの収益計算をしているDCF法は、一応アウトと云うことになってくる。

 従って、もし30%を越え50%増の売上高の予測をしていた場合には、何故50%アップもの収益が見込まれるのかという説明を求められることを考え、充分その説明がつく様にしていないとダメと言うことになる。

 ゴルフ場企業・業界は、商品製造メーカー・業界ではない。商品をドンドン生産して販売量を増やしていけば、売上高が増えるという産業ではない。

 18ホールで、人がゴルフボールを打って楽しむことを提供する産業である。
 一日一組4人で50組、200人のプレーが限界である。

 自ずから売上高の限界がある産業である。
 

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