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2729) 増え続ける不動産業貸出額 過去最高更新14.5兆円

 2024年5月17日、日本銀行は、2024年第1四半期(2024年1月〜3月)の銀行の貸出先別貸出額を発表した。

 それによると2024年1月〜3月の国内銀行の不動産業への新規貸出額は、4兆6869億円である。

 前年同期は、4兆4440億円(発表時の金額、以下同じ。発表後に金額が変更されている場合が多々あるため)であったから、前年同期比では

                     4兆6869億円
                  ────────  ≒ 1.054                        
                     4兆4440億円
5.4%アップである。

 四半期の対前年同期比の増加率は、下記である。
        2021年7月〜9月   前年同期比  + 4.3%
    2021年10月〜12月  前年同期比  +26.3%
    2022年1月〜3月   前年同期比  + 9.6%
    2022年4月〜6月   前年同期比  +10.4%
    2022年7月〜9月   前年同期比  +17.7%
        2022年10月〜12月  前年同期比  + 2.2%
        2023年1月〜3月      前年同期比    +23.1%
    2023年4月〜6月   前年同期比  +26.6%
    2023年7月〜9月   前年同期比  +17.1%
    2023年10月〜12月  前年同期比  +5.2%
        2024年01月〜03月  前年同期比  +5.4%
である。

 貸出額は前年同期比はずっと+である。つまり貸出額は留まることなく増え続けていると云うことである。

 2024年第1四半期末直前1年間の貸出額を記すと、下記である。金額は発表時の金額である。

            2023年第2四半期   3兆0272億円
            2023年第3四半期   3兆5763億円
            2023年第4四半期   3兆3070億円
            2024年第1四半期   4兆6869億円
                計              14兆5974億円

 各四半期末直前1年間不動産業貸出額は、下記である。
            2016年12月           12兆3388億円
            2017年3月            12兆3580億円
            2017年6月            12兆1569億円
            2017年9月            11兆7927億円
            2017年12月           11兆7070億円
            2018年3月            11兆3894億円
            2018年6月            11兆3064億円
            2018年9月            11兆2219億円
            2018年12月           11兆0434億円
            2019年3月            10兆9189億円
            2019年6月            10兆7439億円
            2018年9月            10兆8577億円
            2019年12月           11兆0715億円
            2020年3月            11兆2599億円
            2020年6月            11兆3390億円
            2020年9月            10兆8391億円
            2020年12月           10兆6697億円
            2021年3月            10兆4344億円
            2021年6月            10兆3828億円
            2021年9月            10兆4889億円
            2021年12月           11兆1311億円
            2022年3月            11兆4459億円
            2022年6月            11兆6710億円
            2022年9月            12兆1305億円
      2022年12月      12兆1979億円
      2023年3月       13兆0330億円
      2023年6月       13兆6695億円
      2023年9月       14兆1905億円
      2023年12月       14兆3545億円
      2024年03月       14兆5974億円

 14兆5974億円である。この金額は、2024年3月期直前1年間の国内銀行の不動産業への新規貸出額である。過去最高年間貸出額である。

 2023年3月期直前1年間の新規貸出額は、上記一覧表の2023年3月の13兆0330億円億円である。

 1年間の貸出増額率は、
                      14兆5974億円
                   ────────  ≒ 1.177                       
                      13兆0330億円
である。

 1年間で1.5兆円余の貸出額増加である。率にすると17.7%アップである。この増加率は異常であろう。

 日銀総裁もやっと変わり、金融政策が変わるのかと思ったら、不動産業貸出額はなお増額となっている。

 一体、日本銀行は何を考えて、不動産業への貸付を増額し続けるのか。

 日銀は金融超緩和政策を行うことによって、産業の活性化を計り、国内総生産を高めようとしたのであろうが、結果、金融超緩和の金は、株式と不動産に回り、株価高騰、地価高騰現象を引きおこしてしまった。

 不動産業に対する国内銀行新規総貸出額に占める割合は、2024年第1四半期の割合は27.9%である。

        国内銀行総貸出額    52兆2309億円
        不動産業貸出額       14兆5974億円

    14兆5974億円÷52兆2309億円≒0.2794

 不動産業の国内総生産に占める割合は、私の計算によれば、4.2%(鑑定コラム1556)である。

 国内総生産に占める割合4.2%の不動産業に対して、国内銀行が全貸出額の27.94%を貸し出す現象は、間違っている。

 その様な政策をしていては、国内総生産が伸びる筈が無かろう。国内総生産の60%を占める民間給与が増加することは無かろう。

 ロシアのウクライナ侵略によるウクライナ戦争により、原油の金額が暴騰し、それに伴い、輸入品の原材料が大幅にあがった。

 消費者物価は、黒田日銀が2%上げるというインフレ政策を長い間行っていたがさっぱり目標達成が出来なかった。

 しかし、ウクライナ戦争勃発であっと云う間に、消費者物価は上昇した。

 労働者賃金はなかなか上がらず、年間賃金は下がり放しであった。

 それが、2024年3月の労使交渉は様変わりして、7%、8%等の年間賃金アップ要求額に対して、満額回答の企業があきれる程ゾロゾロ出てきた、

 日本製鉄に至っては、労働組合が月額3万円アップの要求に3万5千円の賃金アップの満額以上の回答である。

 何よこの様は?

 この金額は一体どこから出て来たの?

 日銀の超超金融緩和政策は、株高、土地価格高で終わっているのであれば良かったが、その科が、為替変動によって、国民一般の日常生活に大きく影響を及ぼしはじめた。

 日本円の大暴落である。

 米1ドル=160円の為替現象を引きおこしてしまった。

 この為替の激しい円安現象は、安倍政権・黒田日銀の超超金融緩和政策の大失敗の結果である。大失敗の動かぬ、言い訳の出来ない、貴重な証拠である。

 経済学者は、一体何をしているのか。政府の審議委員の肩書きが欲しい学者ばかりがのさばっていることによる結果が、日本経済のこの結果か。

 上記四半期末直前1年間の貸出額をグラフにしたのが、下図である。





国内銀行不動産業貸出額2024年3月末




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