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2149)おかしな開発法のベースとなった収益価格

 鑑定コラム2145)で、収益還元法価格をベースにして開発法の価格を求めているという間違いも甚だしい不動産鑑定について述べた。

 その中で次のごとく述べた。

 「その鑑定書は、対象地上にマンション等の賃貸建物を想定し、想定賃料よりその賃貸建物の収益価格を求めていた。
 そこから建物価格を控除すれば、土地残余法で更地価格が求められることから、それで終わりと思って鑑定書を閉じようとした」

 引用の中で述べている土地残余法の価格を その鑑定書記載の数値を使って具体的に求める。

 東京のど真ん中区にあって、土地面積約2万6,000u、延べ床面積約11.6万uで15階〜17階の建物4棟が建つ複合不動産の土地の鑑定書は、純収益を次のごとく求めている。

 敷金運用益を除く運営収益を3,029,327,000円(年額 以下同じ)である。

 収入の中に更新料収入が入っている。

 新築建物の賃貸収入に更新料収入を入れるものなのか。

 DCF法の収益還元法では期間2年の賃貸借契約の場合には、3年目の収入に更新料を計上するが、直接収益還元法の場合は初年度の収入で考えるものであるから、2年後等授受の更新料は計上しないものであるが。

 運営費用は、減価償却費を考えずに808,686,000円とする。経費率は25.7%である。

 この経費率25.7%はまやかしの率で、建物価格(新築であるから建物工事費相当となる。)の減価償却費を考えれば、経費率は57.7%になり、賃貸不動産としては健全経営不可能のものとなる。

 減価償却費を経費項目から外すと、こうした事態を見逃してしまうことになる。賃料が安いのか、建物工事費が高すぎるのか、賃貸面積率が低すぎるのか等の要因が浮かんで来る。例示した3つの要因が絡んでいる可能性もある。

 運営純収益は、

          運営収益−運営費用=2,220,641,000円
と求めている。

 この運営純収益に敷金運用益を加え、資本的支出を差し引いて、純収益を2,164,243,000円とする。

 還元利回りを4.9%として、収益価格を
               2,164,243,000円÷0.049=44,168,224,490円
                                     ≒44,200,000,000円
と求める。

 この442億円は土地建物が複合して得られる収益価格である。

 この価格より建物の配分価格を控除すれば良い。建物配分価格は建物建築工事費である。

 建物建築工事費は、鑑定書後記で37,623,462,500円と記されている。簡略化して376億円とする。

 土地価格は、
       442億円−376億円=66億円
となる。

 ここで当該地の土地価格は66億円と求められる。これで終わりである。

 土地残余法の収益価格が適正な時価とはならない。土地取引事例比較法によって求められる比準価格によって比較検討される。収益価格の倍以上が市場が形成する適正価格であるということは充分ありうる。

 鑑定コラム2145)で次のごとく記す。

 「そこから建物価格を控除すれば、土地残余法で更地価格が求められることから、それで終わりと思って鑑定書を閉じようとしたが、まだ鑑定書の計算が続いている。何であろうと思って読み続けたところ、何と収益価格をベースにして開発法を行い更地価格を求めていた。」

 鑑定書は、収益価格442億円をベースにして、開発法を行っているのである。

 収益価格442億円を得られるのは80ヶ月後として、利率6.5%の投下資本収益率を使って割り戻し、複利現価価格を29,048,240,000円とする。

 支出は建築工事費、開発負担金、販売費及び一般管理費の合計39,553,862,500円を期間に応じて、利率6.5%の投下資本収益率を使って割り戻し、28,338,552,032円とする。

 ここで収益価格に、販売費及び一般管理費が発生するのかと疑問が湧くが、鑑定書は発生すると考えているようである。

 開発法の土地価格は、
           29,048,240,000円− 28,338,552,032円≒710,000,000円
                                               (u当り27,000円)
と求める。

 対象地の土地価格は収益価格で66億円と既に求められているのに、それを開発法の手法を行い7.1億円にする。

 この考え方に従えば、中央区の地価公示価格で求められている土地収益価格は、収益実現は80ヶ月後であるから利率6.5%の投下資本収益率を使用して割り戻し、複利現価価格としなければならず、現行求められている土地収益価格は約90%価格ダウンし約10%の価格が適正価格であることになる。

 土地残余法の収益価格で66億円と求められているのであるから、それが7.1億円に変貌するものでは無い。

 当該鑑定書の求め方が受け入れられるものではない。不動産鑑定士への信頼の失墜も甚だしい。

 開発法は前の鑑定コラムでも述べたが、分譲マンションの販売価格をベースにして求めるものであって、賃貸マンション等の収益価格をベースにして求めるものでは無い。この様な鑑定評価をしていると、不動産鑑定士失格と云われても仕方なかろう。もっと勉強せょ。

 鑑定協会も我関せずと云って傍観していると、同類と都民から思われるょ。


  鑑定コラム2144)
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