○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

2181)「「HARUMI FLAG」住民訴訟に新たな動き 不動産鑑定士たちが指摘する激安価格のカラクリと問題点」という経済アナリストの記事

 『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)、『世代間最終戦争』(東洋経済新報社)、『地価「最終」暴落』(光文社)の著書がある経済アナリストでジャーナリストの立木信(たちき まこと)氏が、ウチコミ−タイムズというネットコラムに上記表題の取材記事を載せている。

 東京オリンピック晴海選手村再開発事業の裁判に関して、住民原告団とは別に不動産鑑定士の有志が動き出し、住民訴訟に新たな動きが出て来たという内容の記事である。

 記事の書き出しは、

 「東京五輪の選手村用地の売却価格が安すぎるとして都民から東京都に対する住民訴訟に再度、不動産専門家の注目が集まっている。」

で始まり、そして

 「中でも「もっとまともな不動産鑑定士、不動産鑑定業者になれ」、「不動産鑑定士への信頼を著しく貶めるような事をするな」という大物鑑定士の意見が出はじめている。

 そもそも不動産鑑定士業界は政治的には無関心だったが、その不動産鑑定業界が重い腰を上げて、東京都や都議会に東京・晴海における都有地売について重大な疑義を投げかけている。」

と続く。

 東京都から依頼を受けて129億6000万円の鑑定額を出した不動産鑑定会社を「国策不動産鑑定会社」と呼び、土地価格評価の激安を可能にしたいくつもの仕掛けを解き明かして行く。

 129億6000万円の金額だけ聞くとそれだけで充分高い土地価格ではないかと思われる人がいるかもしれないが、当該地の北西約2.5kmの銀座4丁目の交差点近くに地価公示価格のポイントがある。東京の最高土地価格である。

 その土地は、面積454uでu当り5770万円(2020年1月1日時点)である。454uの規模の土地で、

                  5770万円×454u≒261億円
である。

 当該地は、銀座4丁目交差点から直線距離で約2.5kmの距離にあり、面積は13.4万uである。454uでは無く134,000uの土地である。それが129.6億円である。

 銀座4丁目近くの山野楽器店の一画地454uの土地価格にも及ばない土地価格である。

 著しく安い金額と云うことが分かろう。分からない人は地図を広げて自分なりに考えてみて欲しい。

 東京都は、さかんに「東京オリンビック要因を考えて、土地価格を考えろ」と主張するが、東京オリンビック要因は建物の工事費に関係するのであって、土地価格には関係しない。土地価格に関係すると云って土地価格を著しく安くする方が間違っている。

 立木信氏の記事の最後は、

 「あの「森友問題」でも鑑定士とその業界団体は重要な「役割」を演じてきた。それと同じ構図の疑問が東京五輪という平和の祭典という国際イベントでも浮上している。この問題について東京都はどう答えるのか。」

と東京都に回答を求めている。

 動かない不動産鑑定士が動き出したことに、暖かい目を向けて文章を綴っている。

 奈良県で山林を時価の11倍の価格で鑑定評価して背任罪で逮捕され、青森では公共用地買収の鑑定評価で官製談合罪で逮捕され、大阪では森友問題で不動産鑑定士の信頼を失墜させているのにも関わらず、不動産鑑定士に暖かい目を向けてくれる経済アナリスト・ジャーナリストがいる事は嬉しく、有り難いことでは無いか。

 お金に目が眩んだ不動産鑑定士によって不動産鑑定士の地位は失墜してしまった。再びその愚かな事が行われ、強引に失墜を拡大させようとしている。

 その様な事を再々許すことは出来ない。世間の信頼を益々失うことになる。アンフェアな不動産鑑定をいつまでも許容する事は出来ない。

 「動かない不動産鑑定士」と呼ばれる不動産鑑定士も動かないといけない。その時期である。

 不動産鑑定士の方々、「俺には関係ない」と思わずに、一読され、自分が職業として生きている現在がどういう時期にあるのかを見つめる良い機会と思われる。

 一流の経済アナリスト・ジャーナリストの立木信氏が、晴海選手村再開発案件に興味を持ち、ペンを執ったと云うことの方が、逆に新しい動きとも云える。

 立木信氏の上記表題のコラム記事のアドレスは、下記である。

  
https://uchicomi.com/uchicomi-times/category/topix/main/13940/



  鑑定コラム2144)「仰天 土地取引事例ゼロの更地の評価書」

  鑑定コラム2145)「収益還元法価格は開発法のベース価格にはならない」

  鑑定コラム2146)「固定資産税を自分で決めていて、その固定資産税が支払えない土地鑑定価格」

  鑑定コラム2147)「土地鑑定単価は土地課税単価より高い」の立証」

  鑑定コラム2148)「土地価格総額と土地公租公課総額との相関関係は大変高い」

  鑑定コラム2149)「おかしな開発法のベースとなった収益価格」

  鑑定コラム2150)「出現確率百万分の2.6の収益還元法」

  鑑定コラム2152)「東京中央区の15階建の土地価格は介在畑の課税価格よりも安い」

  鑑定コラム2153)「東京都敗訴の固定資産税の最高裁判決」

  鑑定コラム2154)「まやかしの建築工事費」

  鑑定コラム2155)「中央区晴海 平成28年1月〜6月新築マンション取引平均価格114.59万円/u」

  鑑定コラム2156)「都心3区の地価公示価格の開発法」

  鑑定コラム2158)「店舗賃料の25%が公租公課という鑑定書 東京のど真ん中区のある街区の話」

  鑑定コラム2159)「出現率10万分の6の開発法の鑑定価格 」

  鑑定コラム2160)「こりゃダメだ 池沼の課税価格より安い17階建て共同住宅の都有地鑑定価格 」

  鑑定コラム1879)「地方自治法の「適正な対価」とは」

  鑑定コラム2161)「従前評価は幾らなの? 8年後支払の金額に複利はつかないの? 」

  鑑定コラム2164)「不動産鑑定界の歴史に残る汚点の開発法  平澤氏メルマガ 」

  鑑定コラム2173)「晴海オリンピック選手村土地価格は特定価格にはならない 」

  鑑定コラム2174)「土地価格の鑑定評価手法には原価法という手法もある 」

  鑑定コラム2176)「「晴海選手村土地の売却顛末」 西田紘一氏寄稿 」

  鑑定コラム2179)「権利変換を希望しない申出は財産の処分行為をすると云うことである」

  鑑定コラム2180)「全員同意型再開発の同意は財産処分の行為である」

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ