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2164)不動産鑑定界の歴史に残る汚点の開発法  平澤氏メルマガ

 不動産鑑定士の平澤春樹氏が、氏の2020年10月23日のメルマガ「APPRAISAL OPINION」で、『東京オリンピックのマイナスレガシー1』と題して、東京都のど真ん中区にある13.4万uの都有地の土地評価について、採用した開発法は歴史に残る汚点と厳しい見方を示し、また鑑定土地価格は甲社のコンサルタント価格をトレースしただけの無責任な鑑定では無いかと厳しく批判する。

 具体的に云えば、土地価格の鑑定の採用した開発法は、「不動産鑑定界にとっては、価格調査報告書とはいえ開発法のみによる不動産鑑定がいかに不安定で依頼者の意向によってどうにでもなるという意味で、マイナスレガシー(行ってはならない汚点の見本)として歴史的に鑑定界に残ることになるであろうと思います。」と述べる。

 つまり不動産鑑定界の歴史に残る汚点の開発法であると指摘する。

 一方、求められた土地鑑定価格は、甲社が提案した「第一種市街地再開発事業は、民間事業者への土地の譲渡時期を最も遅らせることが可能なため、民間事業者の土地保有リスクを軽減できるメリットが最も大きい。」として、甲社が結論で示した土地譲渡価格88千円/u(総額110億円)の筋書きを、乙はなぞって、トレースした価格(96,800円/u)であり、出来レースの土地鑑定価格であると述べる。

 なにそれ? 不動産鑑定士のやること? それが適正な価格であると? そんなことするのまともな不動産鑑定業者なの? 基準地価格が至近にあるのにそれを無視したのはそのため?

 下記にその鑑定結果の無残な姿を図示する。鑑定コラム2160)に記した図と同じである。

 北西にある基準地価格の単価と、各街区の価格単価と比較して欲しい。各街区は無接道画地ではなく、不整形土地でもなく、崖・急傾斜の土地でも無い。池沼でもない。土壌汚染の土地でもない(土壌汚染は考慮外であると記述されて評価されている)。

 評価地の各街区は、平坦な、良好な画地である。この土地が、どうして基準地価格の3%〜13%のu単価なのか。

 求められている各街区のu当り価格は、出現確率10万とか100万分のいくつ等という合理的経済行為に反する非論理の数値を使って開発法によって求められた鑑定価格である。この図が不動産鑑定界の歴史に残る汚点の開発法の価格図である。






 下記に不動産鑑定士の平澤春樹氏のメルマガを、氏の了解を得て転載する。但し、原文には企業名が書かれているが、平澤氏の了解を得て私の判断で仮称とする。

       

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不動産鑑定士 平澤 春樹  APPRAISAL OPINION

                 

 不動産鑑定界や、周辺分野における情報をスピーディーにお届けすることによって、 今、何が起こっているのかを確認し、今後、中長期的に不動産鑑定界はどの様な方向にゆくべきかについて、皆で英知を集めて考えていくために鑑定オピニオンメルマ ガを開設いたしました。

 もとより個人的に収集した情報を個人の責任において発信するものであり、1人の 不動産鑑定士として私の意見を発信していきたいと思っています。
       

     
『東京オリンピックのマイナスレガシー 1』


 コロナで延期となってきた東京オリンピックも、開催まで半年余りとなってきました。
 NHKの世論調査によれば中止すべきであるとの意見が、実施すべきであるとの意見を上回っていると報道されています。

 中止されるにしろ(中止の裏情報が流れています)実施されるにしろ、このオリンピックは不動産鑑定界にとっては、価格調査報告書とはいえ開発法のみによる不動産鑑定がいかに不安定で依頼者の意向によってどうにでもなるという意味で、マイナスレガシー(行ってはならない汚点の見本)として歴史的に鑑定界に残ることになるであろうと思います。

 実は、平成25年9月に甲社から東京都に提出された「選手村開発方針検討業務報告書」によれば、最適な事業手法の検討の中で、「本事業において、都及び民間事業者にとって、安定的な側面から最も適していると考えられる事業手法は、第一種市街地再開発事業と整理できる。

 第一種市街地再開発事業は、民間事業者への土地の譲渡時期を最も遅らせることが可能なため、民間事業者の土地保有リスクを軽減できるメリットが最も大きい。

 また、都としても、施行者として事業への関与度が高まり、基盤整備を含めた一体的なコントロールが行いやすいというメリットがある。」と報告され、この中で市街地再開発事業(個人施行)が提言され、土地譲渡価格は110億円(88千円/u)とされています。

 平成28年2月23日付で、乙から提出された調査価格は平均で96,800円/uで極めて近似しています。

 これは偶然というよりもデキレースの確信犯というべきで、乙の報告書は甲社を受けた東京都の筋書きをトレースしたにすぎません。

 不動産鑑定制度の生みの親ともいうべき伝統ある日本最大の鑑定機関が発注者である東京都の意向をそのまま受けたことを残念に思います。

 少なくとも私の友人である乙出身のOBも同じ思いであろうと思います。

 中止となったら、このオリンピックには何が残るであろうか。

 不動産鑑定界にとっては、マイナスレガシーを残したことは取り返しのつかない事実です。


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   APPRAISAL OPINION は、配信をご希望された方及び、名刺交換を
   させていただいた方に配信させていただいております。
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