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2159)出現率10万分の6の開発法の鑑定価格

1.はじめに

 東京のど真ん中区の13.4万uの街区をA・B・C・D・E街区に分け、AとEは賃貸建物を想定し、その収益価格を開発法のベースに価格を求めるという訳の分からない鑑定基準違反で価格を求めている。

 その間違いについては、E街区の鑑定については鑑定コラム2158)で詳述した。

 A街区の鑑定については、鑑定コラム2145)〜2153)で述べた。但し2051)は除く。

 B・C・D街区の鑑定については、鑑定コラム2054)〜2156)で求め方の各部位の数値のいかさまについて論じた。

 A・B・C・D・E街区が、どういう位置関係にあるか下図で示す。概略である。





 対象地北西に、東京都の基準地中央3(東京都中央区晴海五丁目1番4 住居表示晴海5-1-9)がある。平成27年7月時点の価格は、u当り895,000円 面積4,158u である。

 令和2年は地価公示価格中央10に指定された。基準地と公示地のダブル地点である。

 令和2年1月1日の価格は、u当り1,060,000円である。106万円かと軽く受け流さないで頂きたい。この価格をしっかり頭の中に叩き込んで、コラム記事を読んでいただきたい。

 下記鑑定評価額を知れば、それが分かろう。

 A・B・C・D・E街区の鑑定評価額を記す。平成28年4月時点の価格である。

    A街区       u当り27,000円
    B街区       u当り49,600円
    C街区       u当り108,000円
    D街区       u当り77,300円
    E街区       u当り83,700円

 上図のE街区の道路挟んで反対近くに、u当り895,000円(平成27年7月時点)の基準地があるにもかかわらず、基準地価格とこの様に価格が違うのに適正であると、裁判で東京都の代理人弁護士は何故主張しているのか不思議に思わないか。

 私には、適正な価格であるというどの様な説明を受けても、適正価格であるとは判断出来ない。適正どころか著しく不適切な価格であると判断する。その価格は、本当に不動産鑑定士の資格を持つ人が評価したのかという疑問が甚だしく湧く。

 疑問が甚だしく湧く故に、B・C・D街区の開発法で求められた価格が出現可能な価格であるかどうかについて分析する。

 そのためには、開発法の価格算出数値・割合の適正値はどの辺りか知るために、公的評価の価格から適正数値を求め、それと比較して、B・C・D街区の鑑定評価額が適正か否か分析する。


2.地価公示価格の価格と開発法価格の関係

 対象地は東京のど真ん中区にある事から、東京の都心3区にある地価公示価格の住宅地価格で、開発法を行っている地価公示価格のテータによる。

 令和2年から地価公示価格の鑑定書が公開されたことから、その公開鑑定書より令和2年地価公示の発表価格と開発法の価格との関係を分析する。

 15地点の地価公示価格がある。発表公示価格と間発法価格の価格一覧は下記である。
 

  都心3区    
公示地番号 所在 公示価格 千円/u 開発法価格 千円/u
       
千代田1 三番町6-25 3160 3120
千代田3 六番町6-1 4050 4070
千代田5 九段北2-23-5 2960 2850
千代田7 一番町16-3 3030 2870
中央6 佃3-3-9 2010 2060
中央8 日本橋浜町3-28-2 1240 1240
中央9 日本橋中州2-3 1260 1260
中央10 晴海5-1-9 1060 1030
港1 赤坂6-19-23 2740 2640
港4 赤坂1-14-11 4720 4690
港16 南麻布4-9-34 3500 3370
港17 芝浦2-3-27 1550 1540
港19 港南3-7-23 1220 1220
港28 南麻布1-5-11 3170 2850
港29 白銀台3-16-10 3810 3690


 縦軸に地価公示価格、横軸に開発法価格を取り、上記データをグラフに落としたのが下図である。


公示と開発法価格


 都心3区の地価公示価格をY千円/u、その公示価格算出の為に用いられた開発法の価格をX千円/uとして、両者の関係式を求めると、下記である。

              Y=3.02+1.02X
                  相関係数r=0.997

である。相関係数は非常に高い。

 公示発表価格と開発法価格との相関関係が非常に高いのは、当然である。

 地域の適正なマンション価格に基づき、最有効使用の状態のマンションを想定し、適正な建築工事費、適正な販売管理費、適正な建築工事期間、販売期間そして適正な投下資本収益率を使用すれば、その求められる開発法は適正な土地価格である。

 それと土地取引事例比較法の比準価格とより、公示価格が決定される。


3.都心3区地価公示価格のマンション価格と開発法の価格

 上記地価公示決定価格と公示価格を求める為に分析した開発法価格との間には、大変強い相関関係がある事が分かった。

 次に、その地価公示価格を求める為に使用した開発法価格とマンション価格の関係を見て見る。

 採用した地価公示価格のマンション価格に対する開発法価格の関係割合を分析する。

 割合は、

         開発法価格 千円/u
              ────────────────                      
         マンション価格 千円/u
の割合である。

 結果は下記一覧である。


  都心3区      
公示地番号 所在 開発法価格 千円/u マンション価格 千円/u 倍率
    a b a/b
千代田1 三番町6-25 3120 1850 1.69
千代田3 六番町6-1 4070 2020 2.01
千代田5 九段北2-23-5 2850 1548 1.84
千代田7 一番町16-3 2870 2045 1.40
中央6 佃3-3-9 2060 1100 1.87
中央8 日本橋浜町3-28-2 1240 915 1.36
中央9 日本橋中州2-3 1260 1000 1.26
中央10 晴海5-1-9 1030 998 1.03
港1 赤坂6-19-23 2640 2600 1.02
港4 赤坂1-14-11 4690 2290 2.05
港16 南麻布4-9-34 3370 2780 1.21
港17 芝浦2-3-27 1540 1100 1.40
港19 港南3-7-23 1220 960 1.27
港28 南麻布1-5-11 2850 1580 1.80
港29 白銀台3-16-10 3690 1730 2.13
  平均     1.556
  標準偏差     0.376


 マンション価格に対する開発法価格の割合は、
                   平均割合    1.556
                   標準偏差    0.376
である。


4.B街区鑑定の検討

 B街区の鑑定(以後「B鑑定」と呼ぶ。)の、マンション価格は、u当り770,000円である。鑑定コラム2155)では、国土交通省の「不動産取引価格情報検索 土地総合システム」の中央区晴海の平成28年1月〜6月新築マンション取引の平均価格はu当り114.59万円であり、徒歩分の修正をして97.88万円/uが妥当なマンション価格と記した。

 その価格から見れば、B鑑定の770,000円/uは、いささか安いが、分析の為それは脇に措く。

 B街区の価格をB鑑定は、開発法を使用して、u当り49,500円と鑑定する。

 マンション価格に対する開発法の価格の割合は、

                      49.5
                 ───── = 0.064                               
                      770
である。

 ここで都心3区の地価公示価格において、マンション価格に対する開発法の価格の割合は、
                    平均割合   1.556
                    標準偏差   0.376
であった。

 B鑑定の価格の出現割合の確率を求めてみれば、その割合がZ値1.96以下であれば、出現確率5%以上であるから、B鑑定は妥当ということになる。もしZ値が1.96以上であれは、B鑑定は採用不可の鑑定と判断される。

 正規分布の確率Z値は、次の算式で求められる。
                          平均割合−データ割合
             Z値   =─────────────                    
                             標準偏差

 標準偏差0.376、平均割合1.556、データ割合0.064を、上記算式に代入してZ値を求める。


                           1.556−0.064
             Z値   =─────────────                    
                             0.376

1.492 = ────── 0.376
= 3.96≒4.0

 Z値は4.0である。正規分布の右側半分の正規分布表によれば、確率は、3.17E−5である。つまり0.0000317である。出現確率は両側の数値で云うことから、出現率は10万分の6ということである。

 B鑑定の価格の出現する確率は10万分の6では、とてもB鑑定が適正な鑑定と云うことは出来ない。B鑑定は不可の烙印が押される鑑定である。


5.C街区鑑定の検討

 C街区の鑑定(以後「C鑑定」と呼ぶ。)の、マンション価格は、板状マンションとタワーマンションがあり、それぞれ単価が異なる。分譲価格は下記である。
     板状マンション     62,379,809,600円
          タワーマンション        48,887,423,800円
              計                 111,267,233,400円

 マンションの分譲面積は、137,667.59uである。

 マンションのu当り価格は、
                   111,267,233,400円
              ───────────  = 808,231円≒808,000円       
                   137,667.59u
u当り808,000円である。

 C街区の価格をC鑑定は、開発法を使用して、u当り108,000円と鑑定する。

 マンション価格に対する開発法の価格の割合は、

                      108
                 ───── ≒ 0.134                               
                      808
である。

 ここで都心3区の地価公示価格のマンション価格に対する開発法の価格の割合は、
                    平均割合   1.556
                    標準偏差   0.376
であった。

 以下B鑑定と同じ求め方で、Z値を求める。

 標準偏差0.376、平均割合1.556、データ割合0.134を、上記算式に代入してZ値を求める。
                           1.556−0.134
             Z値   =─────────────                    
                             0.376

1.422 = ────── 0.376
= 3.78≒3.8

 Z値は3.8である。正規分布の右側半分の正規分布表によれば、確率は、7.24E−5である。つまり0.0000724である。出現率は10万分の14ということである。

 C鑑定の価格の出現する確率は10万分の14では、とてもC鑑定が適正な鑑定と云うことは出来ない。C鑑定は不可の烙印が押される鑑定である。


6.D街区鑑定の検討

 D街区の鑑定(以後「D鑑定」と呼ぶ。)の、マンション価格は、板状マンションとタワーマンションがあり、それぞれ単価が異なる。分譲価格は下記である。
     板状マンション     56,366,147,800円
          タワーマンション        48,624,732,490円
              計                 104,990,930,290円

 マンションの分譲面積は、129,663.08uである。

 マンションのu当り価格は、
                   104,990,930,290円
              ───────────  = 809,721円≒810,000円       
                   129,663.08u
u当り810,000円である。

 D街区の価格をD鑑定は、開発法を使用して、u当り77,300円と鑑定する。

 マンション価格に対する開発法の価格の割合は、

                      77.3
                 ───── ≒ 0.095                               
                      810
である。

 以下B鑑定と同じ求め方で、Z値を求める。

 標準偏差0.376、平均割合1.556、データ割合0.095を、上記算式に代入してZ値を求める。
                           1.556−0.095
             Z値   =─────────────                    
                             0.376

1.461 = ────── 0.376
= 3.88≒3.9

 Z値は3.9である。正規分布の右側半分の正規分布表によれば、確率は、4.81E−5である。つまり0.0000481である。出現率は10万分の10ということである。

 D鑑定の価格の出現する確率は10万分の10では、とてもD鑑定が適正な鑑定と云うことは出来ない。D鑑定は不可の烙印が押される鑑定である。


7.結論

 B・C・D街区のB・C・D鑑定の求められている価格の出現確率が、10のマイナス5乗である10万分のいくつでは、現実性が全く無い価格であり、その様な価格を前提にして適正云々を云う方がどうかしている。まともかと云いたくなる。

 不動産鑑定書と云える代物でなく、その鑑定書が大手を振って堂々と罷り通っていることがおかしい。論争するに値するものでは無く、早々に破棄されるべきものである。
 
 一体こうした不動産鑑定書を書いた人は本当に不動産鑑定士の資格を持っている人なのか。そうであれば、甚だしく不動産鑑定士の品位を貶め、かつ不動産鑑定評価を侮辱したことになる。又、そうした不動産鑑定書を発行した不動産鑑定業者も同じである。



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