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2147)「土地鑑定単価は土地課税単価より高い」の立証

 先の鑑定コラム2146)「固定資産税を自分で決めていて、その固定資産税が支払えない土地鑑定価格」において、標準課税単価がu当り82,000円であり、求められている鑑定評価の土地単価u当り27,000円である事に対して、「この様な論理の矛盾など生じ無いし、生じるハズが無い。」と記した。

 それは土地鑑定評価の単価は、課税標準価格の単価より常に高く、課税標準価格の単価が土地鑑定評価の単価よりも高い位置にあることなどあり得ないということを指摘したのである。

 本鑑定コラムを読まれる人の中には、本当にそうであるのかと疑問を持たれる人がいると思われる事から、あり得ないということを現実のデータを使用して実証する。

 鑑定コラム2146)では「東京のど真ん中区」と記載した事から、東京都中央区にあるデータを使用して実証する。

 公的のデータによるのが最も信頼性があると判断出来、東京中央区の地価公示価格を使用して行う。地価公示価格を鑑定評価格とみなす。

 地価公示価格は、2年前頃より地価公示価格の鑑定書を公開するようになった。その公開鑑定書の中に収益還元法の内容も公開されている。収益還元法では、必要諸経費の土地公租公課の金額が発表されている。

 東京中央5-52(晴海2-1-40)を例にして、説明する。

 令和2年1月1日時点の地価公示価格はu当り2,000,000円である。土地面積は7,250uである。

 中央5-52の地価公示価格の鑑定書によれば、7,250uの土地上に鉄骨造地下2階付地上17階建ての店舗事務所ビルを想定している。延べ床面積は、48,025.34uである。

 その土地の公租公課は77,939千円である。

 固定資産税率は0.014である。都市計画税率は0.003である。両者を合計した税率は0.017である。課税評価に伴う価格減価修正要因は無いものとする。

 東京中央5-52の課税標準価格は、

            77,939千円÷0.017=4,584,647千円
である。土地面積は7,250uであるから、u当りの課税標準価格は、
               4,584,647千円÷7,250u=632千円
である。

 地価公示価格は、2,000千円である。
 課税標準価格は、632千円である。

 地価公示価格を鑑定評価格とみなすとしているから、
       
                鑑定評価格単価 > 課税標準価格単価
となる。

 地価公示価格÷課税標準価格として倍率を求めると、
               2,000千円÷632千円 =3.2
  である。倍率が1より低い数値の場合は、それは鑑定評価格単価 < 課税標準価格単価となり、課税標準価格単価の方が地価公示価格単価(鑑定評価格単価)より高いと云うことになる。

 中央区にある地価公示価格のうち収益還元法が行われている商業地、住宅地の地価公示価格の全てを分析したところ、1個所も1を割るものは無かった。全て1以上のもので倍率は2.7〜13.2倍の数値であった。

 鑑定コラム2146)の課税標準価格u当り82,000円、鑑定価格u当り27,000円の単価関係及び倍率では、
                   27,000円
                ────── = 0.33                               
                   82,000円
ということなど、あり得ないということである。その鑑定の不当性は甚だしいと云うことになる。

 最高裁の固定資産税の課税標準額と適正時価の関係に関する判例がある。

   「適正な時価とは、賦課期日における客観的な交換価値であり、それを上回った評価は、その上回った部分について賦課期日における適正な時価を越える違法がある。」(最高裁判決 平成15年6月26日 平成10年(行ヒ)第41号)

 この最高裁判決は課税標準価格が適正時価を上回ったらそれは違法と云っているのであり、その事から適正時価(鑑定評価によって求められる価格)は、課税標準価格よりも高い価格にあることを判示している。

 もしu当り27,000円が適正時価であるならば、課税標準価格のu当り単価はそれ以下で無ければならないが、u当り82,000円が課税標準価格としていることから、u当り27,000円の評価は間違いであり、自らがそれを自白証明していることになる。

 下記に分析結果一覧を記す。


東京都中央区   令和2年        
公示番号 所在 公示価格千円/u 土地面積^u a 土地公租公課 千円  b 課税標準単価 千円/u  公示価格/課税単価
          (b÷0.017)/a  
中央5-1 銀座2-16-12 3270 340 5789 1002 3.3
中央5-2 銀座6-8-3 32200 360 32705 5344 6
中央5-3 京橋1-15-1 7740 1375 62102 2657 2.9
中央5-4 銀座3-7-1 17600 290 22962 4658 3.8
中央5-5 京橋1-1-1 22900 1948 285406 8618 2.7
中央5-6 日本橋久松町12−8 2080 379 4175 648 3.2
中央5-7 八重洲1-5-9 8810 316 15287 2846 3.1
中央5-8 日本橋3-11-1 8170 1376 67201 2873 2.8
中央5-9 日本橋人形町1-19-8 3180 121 2048 996 3.2
中央5-10 築地5-3-3 2700 2543 33336 771 3.5
中央5-11 日本橋兜町13-1 5660 1105 36698 1954 2.9
中央5-12 日本橋小伝馬町12-2 3080 149 2522 996 3.1
中央5-13 勝どき4-2-14 2070 471 1402 175 11.8
中央5-14 新富1-9-1 2300 207 2483 706 3.3
中央5-15 日本橋蛎殻町1-16-11 2450 275 3478 744 3.3
中央5-16 日本橋本町4-1-11 5900 330 11545 2058 2.9
中央5-17 新川1-17-27 2460 195 2526 762 3.2
中央5-18 銀座4-2-15 31000 829 116111 8239 3.8
中央5-19 築地2-12-11 2280 340 4072 704 3.2
中央5-20 日本橋人形町2-21-10 1890 147 1416 567 3.3
中央5-21 新川2-12-15 2320 458 5677 729 3.2
中央5-22 銀座4-5-6 57700 454 115941 15022 3.8
中央5-23 銀座7-9-19 42700 426 78614 10855 3.9
中央5-24 日本橋茅場町2-4-6 2310 148 1826 726 3.2
中央5-25 日本橋富沢町7-15 1600 111 935 495 3.2
中央5-26 八丁堀1-9-7 4680 296 8191 1628 2.9
中央5-27 銀座2-3-18 6080 105 2934 1644 3.7
中央5-28 八重洲2-10-17 13400 1724 133027 4539 3
中央5-29 銀座2-6-7 43300 353 60558 10091 4.3
中央5-30 新川1-11-5 1140 138 826 352 3.2
中央5-31 月島3-9-10 1520 74 162 129 11.8
中央5-32 入船3-1-13 2480 478 6086 749 3.3
中央5-33 京橋1-6-1 17500 2237 246428 6480 2.7
中央5-34 日本橋人形町1-5-15 1290 107 730 401 3.2
中央5-35 日本橋2-1-10 21500 2222 271610 7190 3
中央5-36 日本橋馬喰町2-6-11 1270 128 843 387 3.3
中央5-37 日本橋蛎殻町2-13-9 1120 140 497 209 5.4
中央5-38 八丁堀4-8-1 3140 172 2873 983 3.2
中央5-39 日本橋室町1-11-8 3090 297 4803 951 3.2
中央5-40 日本橋箱崎町20-1 1280 226 377 98 13.1
中央5-41 銀座5-4-3 49700 435 98328 13297 3.7
中央5-42 築地4-7-5 4040 1461 30456 1226 3.3
中央5-43 八重洲1-5-20 23400 623 88392 8346 2.8
中央5-44 銀座5-13-16 9570 660 37240 3319 2.9
中央5-45 日本橋室町4-2-14 2340 123 1505 720 3.3
中央5-46 日本橋茅場町3-2-12 2870 336 5168 905 3.2
中央5-47 築地3-12-5 1340 225 410 107 12.5
中央5-48 入船3-8-9 1470 162 305 111 13.2
中央5-49 日本橋本町3-2-13 3000 575 9129 934 3.2
中央5-50 日本橋3-2-14 6110 220 7472 1998 3.1
中央5-51 日本橋本町4-4-2 7510 1131 50417 2622 2.9
中央5-52 晴海2-1-40 2000 7250 77939 632 3.2
中央5-53 銀座8-6-20 16400 181 14350 4664 3.5
中央1 月島2−16−9 975 82 134 96 10.2
中央2 明石町5−19 1690 435 1078 146 11.6
中央3 勝ちどき3−4−18 1320 799 1621 119 11.1
中央4 月島3−25−3 1300 558 1296 137 9.5
中央5 佃3−11−13 870 59 83 83 10.5
中央7 佃2−12−12 1280 742 1464 116 11


 東京都の不動産鑑定士の団体である公益社団法人東京都不動産鑑定士協会は、最高裁の判例にも違反し、鑑定評価格及び経済原則である「鑑定評価格単価 > 課税標準価格単価」に反して、「鑑定評価格単価 < 課税標準価格単価」を主張して、それが適正であるとする不動産鑑定書が、都内で堂々と横行することを許しておいてよいと思っているのか。間違いは間違いと糺すことをしないのか。何もしないのであれば情けない団体であると都民から思われるょ。

 不動産鑑定士の団体である公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会は、最高裁の判例にも反し、鑑定評価格及び経済原則である「鑑定評価格単価 > 課税標準価格単価」に反して、「鑑定評価格単価 < 課税標準価格単価」を主張して、それが適正であるとする不動産鑑定書が横行することを許すのか。

 不動産鑑定評価の監督官庁の国土交通省は、最高裁の判例にも反し、鑑定評価格及び経済原則である「鑑定評価格単価 > 課税標準価格単価」に反して、「鑑定評価格単価 < 課税標準価格単価」を適正と主張する鑑定評価の行為とその不動産鑑定書を許すのであろうか。



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